目次
1. 結論:条件で決まる(早見表)
「どれが一番いいか」ではなく「自分の処理が何を要求するか」で決まります。要求が軽いのに高いものを借りても速くなりませんし、逆に常駐が必要な処理を共有サーバーに置くと動きません。
| やりたいこと | 向く場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 毎日決まった時刻に1回スクリプトを走らせる | 共有レンタルサーバー | cronが使えれば足りる。OSの管理が不要 |
| プロセスを常に起動させておく(Bot・監視・常駐) | VPS | 共有サーバーは常駐プロセスを許可していない |
| ブラウザを自動操作する(Selenium・Playwright) | VPS | Chromeなどのインストールにroot権限が要る |
| 外部に出せないデータを扱う/とにかく費用を抑える | 自宅サーバー | 電気代だけ。ただし停電・電源抜けで止まる |
| 重い計算を長時間まわす | VPS(メモリの大きいプラン) | 共有サーバーはCPU・実行時間に制限がある |
2. 自分のPCでは続かない理由
最初はどうしても手元のPCに置きたくなります。追加費用がかからず、書いたらすぐ試せるからです。実際に私もMacのlaunchdで定期実行していました。
しかしノートPCの定期実行は「開いている時」にしか発火しません。スリープ中に来た時刻は飛ばされます。私の環境では、PCを閉じていた3日間、処理が丸ごと止まっていました。しかもエラーは出ません。動いていないことに気づくまで時間がかかります。
手元のPCに置いたまま運用するときの前提
- 毎日その時刻にPCを開いている確証があるか
- 1日飛んでも影響がない処理か
- 動かなかったことに気づく仕組みがあるか
3つとも満たせないなら、置く場所を変えた方が早いです。
なお、macOSにはもう一つ落とし穴があります。launchdから起動したプロセスはデスクトップ配下に書き込めません(TCCという保護の対象で、権限エラーになります)。出力先を保護対象外のディレクトリにしておく必要があります。
4. VPS:常駐・ブラウザ操作が要るなら
仮想の1台を丸ごと借りる形式です。root権限があるので何でも入れられます。その代わり、OSの更新・ファイアウォールの設定・ログの確認は自分の仕事になります。
VPSでなければ動かないもの
- SeleniumやPlaywrightでのブラウザ自動操作(Chromeとドライバのインストールが必要)
- systemdで常駐させるサービス・Bot
- データベースサーバーを自分で立てる構成
- Dockerを使う構成
借りたら最初にやること
root権限があるということは、設定を間違えると外から入られるということです。Linuxサーバーを借りた直後の点検項目とファイアウォールの設定は、スクリプトを置く前に済ませてください。鍵認証に切り替えてパスワードログインを止めるだけで、総当たりの試行はほぼ無効になります。
私が使ったことがあるのはさくらのVPSです。借りた直後の状態はOSが入っているだけなので、PythonやChromeは自分で入れることになります。共有サーバーで「これは動かせません」と断られる処理が通るのが、借りる側から見た一番の違いでした。
クレジットカード払いを選ぶと全プランで2週間無料のため、常駐させたい処理が実際に動くかを借りる前に確認できます。
SSDプランが月々698円から使える!さくらのVPS
5. 自宅サーバー:安いが止まる
私が実際に使っているのはこの形です。使っていない古いノートPC(2015年ごろのCeleron・メモリ4GB)にXubuntuを入れ、定期実行をすべてそこに寄せています。月額は電気代だけです。
ただし、3年運用して分かった弱点があります。
自宅サーバーで実際に踏んだ問題
- 電源が抜ければ即座に異常終了する。私の機体はバッテリーが故障していて取り外してあるため、停電やコードの抜けで落ちます。UPSを入れるか、電源を抜けない場所に置く必要があります
- 異常終了すると定期実行の登録だけが消えることがある。エラーも通知も出ないまま、その処理が二度と走らなくなります。再起動後にタイマーの本数を数えて確認する運用にしています
- ログアウトすると止まる設定がある。ユーザー単位のタイマーは、明示的に許可しておかないとログアウトで停止します
- 外から入る構成は取れない。自宅回線は外部からの接続を閉じているので、外部サービスから直接呼び出す形には向きません
「止まっても自分で気づいて直せる処理」なら十分使えます。逆に、止まると困る処理・他人が使う処理をここに置くのは勧めません。
用意するマシン
常時動かす用途なら高性能な機種である必要はありません。省電力で静かなものを1台置いておく形で足ります。使っていないノートPCがあればそれで始められます。
6. 料金の目安(2026年10月28日時点)
下の金額は2026年10月28日に各社の公式サイトで確認した時点のものです。料金は改定されるため、申し込む前に必ず公式サイトで最新の金額を確認してください。
| 区分 | 月額の目安 | 無料で試せる期間 |
|---|---|---|
| 共有レンタルサーバー(エックスサーバー スタンダード) | 990円〜1,320円(契約期間で変動。長期契約ほど安い) | 10日間 |
| VPS(さくらのVPS 石狩・月払い) | 512MB 643円 / 1GB 880円 / 2GB 1,738円 | 2週間(クレジットカード払いを選んだ場合) |
| 自宅サーバー(古いノートPC) | 電気代のみ | — |
エックスサーバーは期間限定の割引が入ることがあり、上の金額より下がる場合があります(確認した時点では2026年11月4日17時までのキャンペーンが出ていました)。終了後は通常価格に戻るため、申込画面の金額を見て判断してください。
VPSは借りるプランのメモリで値段が変わります。ブラウザ自動操作をするならChromeがメモリを食うので、512MBでは足りません。1GB以上を見ておく方が無難です。
7. 選ぶときのチェックリスト
上から順に答えると、どれを選ぶかが決まります。
- 止まると困る処理か? 困らないなら自宅サーバーや手元のPCでも足ります
- プロセスを常に起動しておく必要があるか? あるならVPS。ないなら次へ
- ブラウザを自動操作するか? するならVPS。しないなら次へ
- 決まった時刻に走らせるだけか? そうなら共有レンタルサーバーで足ります
- 外に出せないデータを扱うか? 扱うなら自宅サーバー(ただし止まる前提で監視を入れる)
どれを選んでも、root権限のあるサーバーを借りたなら最初の点検は飛ばさないでください。放置したサーバーは数日で総当たりの対象になります。